【モスクワ時事】
ロシアIT企業「ヨタ・デバイセズ」は、
世界で初めて両面ディスプレーを搭載したスマートフォン(多機能携帯電話)
「YotaPhone(ヨタフォン)」を開発し、
4日からロシアと欧州4カ国で販売を開始したと発表した。
マルトイノフ最高経営責任者(CEO)によると、日本での販売は未定。
背面に省電力で視認性に優れた電子ペーパー画面を採用。
交流サイト(SNS)などの情報を常時表示できるのが特徴だ。
同CEOは、メッセージを読むために画面を点灯させる煩わしさから解放されると強調した。
価格はロシア国内が1万9990ルーブル(約6万1700円)、国外が499ユーロ(約6万9580円)。
【モスクワ】ロシアの電話機メーカー、ヨタ・デバイシズは4日、
当地ゴーリキー公園内のイベントで2つの画面を持つスマートフォンを発表する。
バッテリーがいつ切れるかを気にせずに2つの画面で継ぎ目なく情報をストリーミング(逐次再生)できるようにすることで、
携帯機器での視聴方法が大きく変わるのではないか、との期待を込めた展開だ。
新機種「YotaPhone(ヨタフォン)」は表側に通常の液晶カラータッチパネルを、
裏側には白黒の電子ペーパーディスプレーを搭載している。
電話機を起動することでバッテリーを浪費しなくても、
絶えずリアルタイムのデータを視聴できるようになる。
ウラディスラフ・マルティノフ最高経営責任者(CEO)(44)は
「電話機を握り続ける必要はないし、5分置きに起動し直す必要もない」と語る。
「何度も起こさなければならない秘書など、誰も必要としていない」。
通常の交流には液晶画面を使うが、電子ペーパーは画像を常時表示できる。
地図、航空券、家族の写真からツイッターのメッセージや電子メールまで何でも表示するが、
画面が変わるときにしか電力を消費しない。
バッテリーが切れても画像が消えることはない。
ヨタによると、電子ペーパーしか使わなければバッテリーは最長68時間持つ。
マルティノフCEOは、ヨタフォンの設計には熱からの保護や画像ソフトウエアの開発など、
技術面で幾つもの課題を乗り越えなければならなかった、と明かす。
電子ペーパーは極めて熱に弱いにもかかわらず、
プロセッサーは過度の熱を生み出す傾向があるからだ。
ヨタフォンは基本ソフト(OS)にはグーグルのアンドロイドを採用している。
当初はロシア、ドイツ、フランス、オーストリア、スペインのみで販売するが、
来年の初めには英国やその他の欧州諸国、中東へと販売地域を広げるつもりだ。
ロシアの消費者向け技術は今まで一度も世界の舞台で脚光を浴びたことがない。
ヨタフォンは世界市場でのロシア初の成功例となるかもしれない。
ロシア産といえば、
ソ連時代のかさ高い電子機器や非常に評判の悪いロシアの自動車ブランド、
ラーダしか思い浮かばない。
それでも政府が数学や科学の教育に力を入れてきたこともあり、
非常に有能なプログラマーや開発者が育ってきたとの評価も得ている。
ただヨタ・デバイシズは世界市場ではほぼ無名の企業だ。
世界の電話機市場はすでに米アップルや韓国のサムスン電子といった大手企業に支配されていて、競争は非常にし烈化している。
ヨタ・デバイシズは2011年にロシア国営の防衛事業からスピンオフ(分離・独立)した。
ロシア国内で無線ルーターやモデム、第4世代(4G)通信網で大成功を収めていたものの、
これまで電話機を製造したことはなかった。
調査会社IDCの世界携帯電話機市場担当の上級アナリスト、
ラモン・リャマス氏は
「ヨタは電話機を発売する時期や地域をかなり限定しなければならなかったはずだ」と語る。
「これは優秀で信頼できる機器だが、需要は大型画面に移っている。そうした中でヨタフォンを発売しても、苦しい状況からはなかなか抜け出せないかもしれない」。
マルティノフCEOはソフトウエア・情報技術(IT)業界で20年間の勤務経験を持つ。
マイクロソフトで働いていた経験もある。
電話機が直面している数々の課題を認識していると述べ、
だからこそ当初の販売台数と販促活動を抑えて小規模なスタートを切ることにした、と説明した。
通信事業者との提携も避け、
自社サイトや海外の電子機器小売業者のサイトを通じて直接販売する。
「これはむしろ消費者との関係だ」と述べる。
「当社の電話機を本当に気に入ってくれれば、何とかしてそれを購入する方法を見つけるはずだ」。
当面の販売目標を50万台前後に設定していて、うち半分を国内販売分が占めるという。
マルティノフCEOは、すでに大量の予約を受け付けているので今後の販売にも楽観的だ、
と述べた。